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【専門誌掲載】「プラスチックスエージ」2020年12月号にバイオプラスチックの解説が掲載

2020年12月10日

プラスチックスエージ、2020年12月号(p54-59)に、バイオプラスチックの解説が掲載されました。以下が概要です。

<概要>

高機能なセルロース系と藻類系のバイオプラスチックの開発 

位地正年、田中修吉(日本電気(株))、渡邉信(筑波大学) 

   非食用植物資源を利用して、製造時のCO2排出量が低く、高機能なバイオプラスチックを開発した。セルロースを利用したバイオプラスチックにおいて省エネルギーな合成プロセスと漆器調の高度な装飾性を実現した。さらに、藻類を利用したバイオプラスチックを開発し、ゼロレベルのCO2排出量の可能性を示した。

   将来の食糧問題への影響がない安定供給性のある非食用植物原料として、セルロースと天然長鎖成分のカルダノールを利用した新しいセルース系バイオプラスチックを開発し、高い植物成分率(約70%)と優れた耐久性を達成した。この省エネルギー(低CO2排出量)の製造プロセスとして、使用する有機溶媒量を大幅に削減(約1/6)できる「半不均一系合成プロセス」を開発した。さらに、新たな付加価値として、伝統工芸の漆器がもつ高度な装飾性を、特有な着色成分の含有と蒔絵調スクリーン印刷によって実現した。

   また、新たな非食用植物原料として、藻類産生の有機有価物(長鎖脂肪酸、多糖類)を利用したバイオプラスチックを開発した。セメント工場などのCO2固定発生源からの高濃度CO2排ガスと下水中の栄養分を利用した高効率の藻類培養と、上記の省エネルギー製造プロセスによって、ゼロレベルのCO2排出量を実現できる可能性を明らかにした。

   今後のバイオプラスチックには、低いCO2排出量の製造技術に加え、マテリアルリサイクル性(再利用時の物性保持性)、さらに、リサイクルされずに廃棄された場合のリスク回避のため、海洋分解性が求められる。また、少量生産時の高コストに対応できる特有な特性の付与などの新たな付加価値も重要である。このようにバイオプラスチックを展開していくためには課題が多いが、将来的には石油系プラスチックを代替えしていく素材と成り得るので、これらの課題を乗り越えていく技術イノベーションと運用を促進する制度の構築が一層重要になると考える。


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